2016-05-05 ■ たったひとときでさえわたしは同じでない あらゆることをおもってはわすれつづけている 忘れたくなかったその ことばにならないことばが もういちど心に浮かぶよう 今日もその縁側の日照りに焼けて色褪せた床を、 鳴り止まないせみが雨の日の足音のように降り注いでため息さえ見逃した夜を、 何時間も経って溶けきった氷をすするあなたを、 忘れるたびなんどでも同じように繰り返して 求めるのだ。木漏れ日の日の午後には焦げ茶けた床板を探して 雨が降れば浮かない顔を見つけるために。