テキスト文章

下品な記事を書かないと死ぬ、と組織に脅されて仕方なく書いています。

私は留守番をしている。今日は留守番をする日だった。

 出かける前に母は「指をピクリと動かしてはだめよ」と言った。どうして指をピクリと動かしてはだめなのかわからないが、考えてもわかるはずがない。私は指をピクリと動かさないように気をつけていた。そのとき目の前に現れた子猫が指をピクリと動かして欲しそうに私の方を見たのである。留守番というのは犬がするように、知らない人がきたら吠えて威嚇したり、自分の尻尾を追いかけてぐるぐるまわったりすることであるから、知らない子猫を目にした私はすぐに吠えて子猫を追い出すか、自分の尻尾を追いかけてぐるぐるまわらなければならなかったが、私はそのどちらもせず、モンハンに夢中だった。モンハンとはモンスターハンターのことである。モンハンで遊ぶためには指をピクリ、ピクリと動かす必要があったので、私は1秒間に3回以上は指をピクリと動かしていた。母の忠告を忘れていた。

「いま、指をピクリと動かしたな」
私は驚いて振り返った。誰もいない。「こっちだ」
私はまた振り返った。「ちがう、こっちだ」私は声を頼りに四方八方振り返り、だんだんと首の筋肉が疲労していくのを感じた。
「こっちだ」「ふふふ、こっちだ」「おそいおそい」「どこをみている。こっちだ」「どうした、もうつかれたのか」「こっちだ」「こっちだ」「にんにん!」

「指をピクリと動かすなんてなんという!連れて行け!」という言葉がきこえたあと、周囲からごまだれ・ケチャップ・サニーレタスが現れて私を取り囲んだ。牢獄へ連れて行くためである。
「やめてくれ!ぼくは指をピクリと動かしただけだ!まさかこんなことになるなんて」
「話しかけるな」
「あ、すみません」


時計の針が二時半をまわったころ、(とちゅう)